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物質中の電子構造は位相幾何学(トポロジー)に基づいて分類することができます。トポロジカルに非自明な電子構造は、基礎科学的観点からだけでなく低消費電力化など応用の観点からも重要視されています。ワイル半金属はその一つであり、理論研究が盛んに行われています。しかし、物質例が少なく実験が困難であるため、理解が十分に進んでいませんでした。
東京大学大学院工学系研究科の上田健太郎大学院生(当時)、理化学研究所創発物性科学研究センターの十倉好紀センター長らの研究グループは、磁性体において実現するワイル半金属状態を輸送測定により観測し、その電子状態のトポロジカルな性質が巨大な自発的ホール効果を引き起こすことを明らかにしました。
磁性体におけるワイル半金属状態の発見は、トポロジカル電子状態に関する知見を深化させるための重要な一歩であると同時に、今後の物質探索への指針を与えると期待されます。また、今回のホール効果の発見とその微視的機構の解明は、新たな磁気メモリ素子等の応用化につながると期待されます。
プレスリリース本文:PDFファイル
Nature Communications : https://www.nature.com/articles/s41467-018-05530-9
国立研究開発法人 理化学研究所:http://www.riken.jp/pr/press/2018/20180803_4/
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